かしこく住宅ローンを組もう

 住宅ローンを組む際、大部分の人が「いくら借りることができるのだろう」と借りられる額のことばかりを考えてしまいがちです。
しかし、大切なことは「いくらなら返すことができるか」ということなのです。
この返せる額を判断するポイントは2つあります。一つ目は、退職までにローンを完済できる期間で借りることです。二つ目は、維持費を含めて今の家賃額程度の月の支払いに抑えることです。返せる額は人それぞれなので、今払っている家賃額の範囲内に抑えることがポイントなのです。夢のマイホームを手に入れても生活を切り詰めてばかりで、しっかりと貯金もできないと意味がありません。住宅ローンは、短く返すことが安心で安全に借りる基本でもあります。
住宅ローンの返済期間は最長の35年で組むケースが多いです。長く組むことで月々の支払いが軽くなるからです。しかし、返し終える前に定年退職を迎えてしまうケースが多いのです。退職後は65歳から支給される公的年金以外収入がなくなる人が多いので、退職までに完済できる返済期間で借りることを目指しておく方が安心です。そして、かしこく金利を選ぶようにしましょう。金利が低いほど返済額は少なくなります。
金利の種類は3種類あり、全期間固定型・固定期間選択型・変動型です。全期間固定型は、借り入れ当初の金額が返済終了までずっと続くタイプです。金利上昇の心配はないが金利は最も高めです。固定期間選択型は、3年・5年・10年など一定の期間だけ金利を固定できるタイプです。固定期間が短いほど金利が低いのが一般的です。変動型は、原則半年ごとに金利が見直され、返済額は5年間変わらず、額がアップしても1.25倍までです。
金利は一般的に最も低いです。これらを踏まえかしこく住宅ローンを組みましょう。

外部収納を忘れずに

 家造りで大部分の人が収納を重視することと思います。しかし、この収納は室内収納ばかりに目がいきがちで、屋外で使用するもの、室内には収納できないものを整理する外部収納においては忘れ去られてしまいがちなのです。
後から外部収納に気づいて慌てて庭やカーポート部分に物置を設置するケースが多いのです。しかし、これでは庭やカーポートスペースを占領してしまいますし、住宅の外観に物置が目に入ることで一気に生活感で溢れてしまいます。
そこで、家造りの際に同時にこの外部収納を計画しておくことで、住宅内に生まれるデッドスペースを利用して外部収納を計画することができるのです。我が家は、階段下に生まれたデッドスペースを利用して外部収納を設けました。ここにはスタットレスタイヤ、子ども達の屋外用おもちゃ、工具や洗車用具、アウトドア用品などを整理しています。お米の備蓄庫として活躍しています。基本的に屋外で使用するものを収納するので、外からものを出し入れできるように勝手口を設けていますし、車から外部収納、外部収納から車へと荷物を移動させることも多いためカーポートとの動線にも配慮しました。
外からの動線だけでなく、室内側からの動線も設けました。室内部分には日用品や掃除機などを収納することができていますし、お米においては屋外から搬入して室内から補充できるためとても便利です。
このように建物内のデッドスペースを利用したことで庭やカーポートスペースを占領することもありませんし、建物内にスッキリとビルトインされているので住宅の外観を損なうこともないのです。
より住まいの収納の満足度を高めるには、この外部収納においてもしっかりと計画しておきましょう。

建売住宅

 建売住宅とは、土地の場所や広さ、建物の間取りなど、すでにプランが完成している住宅のことです。

この建売住宅の多くが、大人2人・子ども2人の4人家族を想定して建てられています。各建物によって多少の違いはあるものの、そのほとんどが同じような間取りの住宅となっています。自由度がほとんどない建売住宅は、自分達が希望する間取りにより近い物件に出会えるかどうかがポイントなのです。

また、決められている分譲地内にどれだけ多くの住宅を建てられるかで、建築業者の利益も変わってきます。なるべくギリギリの広さで土地を仕切り、よりコンパクトな住宅を建てるかということを重視しています。気になるのは、建築段階をチェックすることができないことです。

建売住宅の多くは、すでに完成しているので、建築途中を確認することができません。使用されている建材や断熱材などは、仕様書を見れば分かるようになっていますが、本当に仕様書通りの部材が使われているかはわかりません。建物が完成していることでメリットもあります。それは、実際の間取りをそのまま確認できることです。間取りだけでなく、日当たり状況や外からの騒音なども実際に体験できるのです。住宅を購入するかの大きな判断材料となってくれます。

また、実際の間取りを確認できるためマイホームをイメージしやすいのです。そして、販売価格があらかじめ提示されているので、予算化しやすいのです。土地を探す手間もかかりません。

メリットデメリットをしっかりと踏まえておきましょう。

キッチン

 家事を行う主婦にとってキッチンは非常に重要な空間です。キッチンの種類も多様化しており、自分に合ったキッチンスタイルを取り入れ、家事のしやすさを高めておきましょう。

最近では、間仕切りなどで閉じられたキッチンではなく、リビングと一体化したオープンキッチンが増えています。以前は壁付けキッチンが多く、キッチンで家事をする母親の姿は背中でしたが、オープンなキッチンにすることで誰でもキッチンに近寄りやすく、作業を手伝いやすいのです。

友人たちを招いたクッキングパーティーも楽しく行えます。オープンキッチンと言っても形はさまざまです。I型と呼ばれるタイプのキッチンをリビングに向かって配置する対面型タイプや、部屋の中央に島のようにキッチンを配置するアイランド型などいろいろな形があります。家族と向き合うスタイルになることで、家族とコミュニケーションが取りやすく、家事と育児の両立もしやすい住まいと言えるのです。

最近の住宅のようにリビングとキッチンが融合している間取りは、キッチンから発せられる音に注目しておきましょう。換気扇の運転音や、洗いものをするときの水音がうるさいと、家族同士の会話やテレビの音が邪魔されてしまうという問題がありました。シンクの裏側に音の発生を抑える制振材を貼り付け、さらに防湿材で覆う構造にすることで水の音が静かなシンクとなります。換気扇もプロペラファンから音の静かなシロッコファンにすることで吸い込む力を弱めることなく静かな換気扇となっています。

音が静かなキッチンにして、家族団らんの場となるキッチンの居心地の良さを高めておきましょう。

素材を大切にした家造り

 近年、住宅の高気密・高断熱化が進み、新建材と呼ばれる化学物質を含有した建材を多く用いたことで、室内空気が化学物質などに汚染され、そこに住む人の健康に悪影響を及ぼしてしまうようになりました。

住居内での室内空気汚染に由来する様々な健康障害を総称して、シックハウス症候群と呼びます。せっかく購入したマイホームがシックハウス症候群を引き起こしてしまうようでは、安心して生活を送ることさえできません。

そこで我が家は素材を大切にした家造りを行いました。床材・建具・柱・階段・階段の手すりにいたるまでふんだんに地元で生産された杉を使用しました。杉の生産が有名であり、新居にはぜひこの杉を使用したいと考えていました。地元の木材をふんだんに取り入れたことで、木材利用ポイントの補助金もあり、お得に家造りを進めることができました。建具においても素材を統一させたことで、室内全体の一体感を高め、木のぬくもりで囲まれたあたたかみのある空間が広がっています。

肌が直接触れることの多い床は、浮造り加工を施し、より木目の美しさを際立たせ、そして触感の良さを高めました。浮造りとは、柔らかい部分を磨きながら削ぎ落として木目を浮き上がらせるものです。年輪を凹凸で立体的にして足裏を心地よく刺激することでマッサージ効果が得られますし、血行促進に繋がります。子ども達の偏平足防止や滑り止めにも効果があります。

そして、壁には、化学接着剤や化学塗料を全く使用していない和紙塗壁を使用しました。調湿機能に優れており一年を通して快適な湿度を保ってくれるので、心地よい居住スペースが広がるのです。

素材に注目して、安心で快適な住まいを手に入れましょう。

セミオープンキッチン

 我が家はキッチンは、コンロからシンクまでが横一直線につながったI型キッチンをリビングに向かって配置した対面式キッチンです。

キッチンの前には程よい高さの腰壁を設けたセミオープンスタイルのキッチンです。この腰壁を設けたことで得られる魅力が多いのです。まずは、気になる手元部分をしっかりと隠すことができます。フルオープンキッチンだと、調理中や調理後のお鍋や食材、食器などが乱雑になっている状態がリビングから丸見えになってしまいます。生活感で溢れてしまいますし、急なお客様にも対応しにくいのです。しかし、腰壁があることでキッチンの見た目を損なうこともなく、急な来客時でもスムーズに対応できるのです。

この腰壁の厚みを利用してニッチを設けることができました。壁の厚みを利用して壁を凹ませ、キッチン側には調味料入れを設けました。今までは作業スペースに並べていた調味料をニッチ内に収めたことで、作業スペースが広々となり、作業のしやすさが高まっています。また、ダイニング側にはマガジンラックのニッチを設けているため、バラバラと散らかりやすい新聞や雑誌をサッと片付けることができています。そして、この壁を利用してカウンターを配しました。ここでおやつを食べたり、宿題をしたりするには最適で、キッチンで家事をする私と顔を合わせてコミュニケーションを取りながら楽しく過ごすことができます。家事をしながら宿題のチェックもしやすくママにとっても便利さを感じられるのです。

自分に合ったキッチンを選び、家事を効率よく行えるようにしておきたいものです。

プライバシーを確保した庭

 マイホームに広々とした庭を設けても道路を行き来する人の視線や、近隣住民の視線が気になれば庭で過ごしにくく、次第に室内から眺めるだけの庭になってしまいます。しっかりとプライバシーを確保し、眺めるだけの庭にするのではなく、くつろげて楽しむことのできる生活空間の一部として有効活用させたいものです。

そこでポイントとなるのがこれらの気になる視線を遮ることのできるフェンスを設けることです。しっかりと視線を遮ることができるようにフェンスの高さや幅を考えましょう。低かったり、幅が足りないということでは目隠しすることができず、プライバシーが損なわれてしまいます。大人の目線が隠れるのは約180㎝程度です。しかし、室内から見た場合や隣接する敷地の高さによっても異なるため、実際に現地でプランナーの人と測量しながら決めるようにしましょう。

しかし、目隠しすることばかりに注目してしまうと、視界が遮られてしまい敷地が狭く感じられたり、圧迫感を与えることもあります。そこで、目の高さ部分にだけフェンスを設置するようにしたり、ボーダーフェンスの板の隙間を広げたりして圧迫感を軽減できるようにします。フェンスの色に気をつけて、白や明るいベージュなど明るい色を選択しておくのもいいでしょう。

光と通す半透明のポリカーボネート素材を取り入れる家庭も増えています。風通りや明るさを確保しながらも、気になる視線をしっかりと遮ることができ、庭がよりプライベート空間となるように計画し、庭で過ごす時間も大切にしておきましょう。

スタディーコーナー

 子ども達が勉強する場所は、二階の自室ではなく、家族がすぐそばにいるリビングやダイニングです。二階の自室で一人こもって勉強をするよりも、家族がすぐそばにいる環境で勉強を行うリビング学習の方が学力を向上するというデータもあるほどです。

そこでリビングやダイニングの一角に子どもがより勉強に集中できるスタディーコーナーを設けておきましょう。そうすれば食事をするダイニングで勉強することもなくなりますし、リビングのローテーブルで慎重に合わず集中力に欠けるという状況も避けられます。スタディーコーナーを設けることで生活のメリハリもしっかりとつけられるのです。我が家はダイニングの窓際に面してスタディーコーナーを設けました。子ども達が2人並んで勉強ができる横幅と教材を広げてゆったりと勉強できる奥行のあるカウンターを作りつけました。窓からは明るさを確保できることで勉強がしやすいのです。正面の壁にはマグネット壁紙を使用しており、時間割や大事なプリントを掲示できるのです。カウンター下の両サイドには勉強道具やランドセルなどを整理できるオープン棚を設け、上部には吊り戸棚を設けました。ここには教科書や参考書、パソコン関連用品や裁縫道具、薬箱など勉強道具だけでなくリビング収納としても活用しています。

キッチンで家事をしながら勉強している姿をしっかりと確認できるため安心して家事が行えますし、親子で並んで宿題のチェックを行うこともできます。子ども達が使用しない時や成長して利用しなくなればパソコンスペースや家事スペースとして利用できるようにコンセントもしっかりと設けています。

子どもがよりよい環境で勉強を行えるように計画しておきたいものですね。

漆喰

 多くの住宅で壁にはビニールクロスが取り入れられています。デザインやカラーバリエーションが豊富ですし、安価な価格であることから取り入れやすいのです。また気分や目的に合わせて手軽に張り替えられるというメリットもあります。

我が家にもビニールクロスを用いました。しかし、住宅の大部分の壁材は漆喰を使用しました。漆喰は、石灰岩を高温で焼成した消石灰が主原料で、そこに海藻から作った糊、麻などの繊維を加えて、水で練り上げたものです。これが空気中の二酸化炭素と結合するともとの石灰岩のように固まります。漆喰にはビニールクロスでは得られない魅力がたくさんあります。まずは、呼吸する壁とも言われるほど調湿機能に優れています。微細な穴を多く持つ多孔質という特徴によって、室内の湿度が高いと吸収し、逆に乾燥していると湿気を放出し、一年を通して居心地のいい室内環境が広がるのです。

そして、防火性にも優れています。不燃素材のため火に強く、万が一火災が発生してもビニールクロスのように有害なガスが発生することもないのです。抗菌・防カビ効果もあります。漆喰は強アルカリ性のためカビや細菌の発生を防ぐ効果があります。抗菌効果によっていやな匂いも分解してくれるのです。

最近ではシックハウス対策として漆喰が注目されています。天然素材を原料としているためホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物は含まれていないので安心です。左官職人が一つ一つ手作業で仕上げるためぬくもりや味わい深さも高く、仕上がりのパターンも豊富です。

ビニールクロスだけでなく漆喰にも注目して壁材を選んでほしいと思います。

家造りの基本

 家造りを行う際に誰もが実現させたい基本事項が、「夏は涼しく、冬は暖かい家」であることではないでしょうか。

冷暖房に頼ることなくエコな暮らしを求める人も多いです。快適な暮らしのためには、気温・湿度・風・放射熱という4つの要素を上手にコントロールすることが大切なのです。人が快適だと感じる気温は20~25℃、湿度は40~60%の間です。これに心地よい風、物が発する熱エネルギーである放射熱という要素が結びついた体感温度が快適さを決めるポイントとなります。

体感温度を快適に保つ方法はさまざまです。例えば、風の通り抜けやすい間取りにすることで夏を涼しくすることができます。また、家の中に寒さを入れず熱を逃さないための技術である気密や断熱にこだわることで冬の暖かさを実現していくことができます。中でも断熱には、構造部分を断熱材でくるむ外張り断熱と、壁の中に断熱材を詰める充填断熱があり、施工方法もさまざまです。また、断熱材の種類も多数あるため、何が最も適しているかは施工業者と話い合いながら決めていくことが大切です。

また、窓などの開口部の日射遮蔽は重要です。日射遮蔽性や断熱性が悪ければ、夏も冬も開口部を通して大量の熱が出入りをします。平成11年省エネルギー基準において強化されたものに、窓の日射遮蔽性と断熱性がありますが、窓を複層ガラスや断熱サッシにすることにより、窓の断熱性能を大幅に改善することができます。

外気温に影響されることなく快適な居住空間が広がりますし、冷暖房を効率良く使用することにも繋がります。これらの点に注意して「夏は涼しく、冬は暖かい家」を実現させましょう。